イタリア料理は世界中で愛されていますが、その中でもローマの伝統料理「サルティンボッカ」は、シンプルながらも奥深い味わいで多くの食通を魅了してきました。今回は、この歴史ある料理について詳しく解説し、その魅力を再発見したいと思います。
サルティンボッカとは、仔牛の薄切り肉にプロシュートとサルビアの葉を乗せて、小麦粉で衣を付け、バターでじっくりと焼いた料理です。「サルティンボッカ」という名前はイタリア語で「ジャンプする口」という意味を持ちます。これは、調理中に肉の脂が飛び散り、まるで口が跳ねているように見えることから名付けられたと言われています。
サルティンボッカの起源:歴史と伝承
サルティンボッカの起源については諸説ありますが、一般的には15世紀のローマに遡るとされています。当時のローマでは、仔牛肉は高級品でしたが、サルティンボッカは比較的安価な材料で作る事ができ、庶民にも親しまれていました。
ある説によれば、サルティンボッカはローマの「トラステヴェレ」地区に住む料理人が考案したと言われています。「トラステヴェレ」はローマの中でも古く歴史のある地区で、芸術家や職人たちが集まる活気あふれる場所でした。この料理人は、仔牛肉を柔らかくするためにプロシュートとサルビアの葉を使用し、バターでじっくりと焼いたことで、独特の風味を生み出したと考えられています。
サルティンボッカの魅力:シンプルながら奥深い味わい
サルティンボッカは、一見シンプルな料理に見えますが、その味わいは非常に奥深く、繊細なバランスが魅力です。仔牛肉は柔らかく、ジューシーな仕上がりになります。プロシュートの塩気とサルビアの葉の香りが肉の旨味を引き立て、バターの風味豊かなソースが全体をまとめます。
特に、サルビアの葉を使うことで、料理に独特のフルーティーで爽やかな香りが加わります。この香りが肉とプロシュートの塩気を調和させ、食欲をそそる奥深い味わいを生み出しています。
サルティンボッカの楽しみ方:ワインとのマリアージュもおすすめ
サルティンボッカは、そのままでも十分に美味しいですが、白ワインや赤ワインと合わせると、さらにその美味しさが引き立ちます。特に、イタリアのトスカーナ地方産の白ワイン「ヴェルディッキオ」や、「サンジョヴェーゼ」をベースとした赤ワインとの相性は抜群です。
これらのワインは、サルティンボッカの豊かな風味を引き立てるだけでなく、料理の味わいをより深く、複雑に感じさせてくれます。
サルティンボッカレシピ
サルティンボッカは自宅でも比較的簡単に作ることができます。ここでは基本的なサルティンボッカのレシピをご紹介します。
材料 (2人分)
- 仔牛薄切り肉:300g
- プロシュート:6枚
- サルビアの葉:10枚
- 小麦粉:大さじ3
- バター:30g
- 塩:少々
- ブラックペッパー:少々
作り方
- 仔牛の薄切り肉に塩コショウを軽く振ります。
- プロシュートとサルビアの葉を重ね、仔牛肉の上にのせます。
- 肉の端からしっかりと巻き、竹串などで留めます。 4.小麦粉をまぶし、余分な粉は落とします。
- フライパンにバターを溶かし、中火で肉を両面こんがりと焼きます。
- 焼きあがったらお皿に盛り付け、残ったバターでソースを作り、肉にかける。
サルティンボッカの変形
サルティンボッカは、そのシンプルさゆえに様々なバリエーションを生み出しています。例えば、仔牛肉の代わりに豚肉を使用したり、プロシュートの代わりにベーコンを使用したりするなど、アレンジを加えて楽しむことも可能です。また、ソースにも変化を加えることで、より自分好みのサルティンボッカを作ることができます。
まとめ
サルティンボッカは、ローマの伝統を凝縮した、シンプルながらも奥深い味わいの料理です。仔牛肉、プロシュート、サルビアの葉が織りなす絶妙なハーモニーは、一度食べたら忘れられない美味しさです。次回イタリア旅行の際には、ぜひローマで本場のサルティンボッカを堪能してみてください。